子育てと闘病を両立する方法。

大腸がんステージⅣの闘病と子育てを両立させ最終的に完治した闘病記を記します。

4回目の抗がん剤とパン(その2)

そのころ,パンの材料は「ママパン」という会社の商品を通販で買っていたのですが,「ママパンオリジナルパン型」というものが発売されたのです。

そのパン型は長さは5.5cm×5.5cm×27cmで,普通の食パンの型より,小さくて細長い型でした。

この型を吐き気で辛い1週間のうちに注文しておいたのです。

翌週型が届いて,これでパンを焼いてみました。

この週はもう吐き気もかなり治まっているので,無理なく焼きました。

普通のパン生地を入れて焼いたのですが,焼きあがった形を見てなんだかわくわくしました。

見たことのない形のパンが出来上がったからです。

そのころはスマホで写真を撮るということはなかったので,家族が帰ってくるまでそのままにしておきました。

子供たちの反応はとてもよく,「なんか面白い形! ねえ,食べよ,食べよ」

と言って切り分けて食べましたが形が面白いだけで味は普通のパンなので「普通だね」と言われてしまいました。

これがもうすでに木曜日で翌日抗がん剤の日だったのです。

というわけで4回目の抗がん剤の日「もうやめたい!」とは思いましたが,それと同時に「しかし今回辛いときに思考をそらすネタはある」と思っていました。

このネタがもしなければ,「この前はパンの事とか考えてなんとか受けたけど,今回は絶対嫌だ」と思ったはずです。

そして投与後,家で吐き気と悪寒で苦しんでいるときに,今度は「新商品」について考えを割り込ませていったのです。

この4回目の抗がん剤の時,新商品は私の頭の中で出来上がりました。

1週間経って少し具合がよくなってから,この新商品を焼いてみました。

これが「クロワッサンルマ」です。

あの細長い型にクロワッサンの生地を入れたのです。

その後「カラメルクロワッサンルマ」もできました。

クロワッサンの生地を作るとき,バターとともにグラニュー糖を折り込んだのです。

このパンはその後友人たちに大人気になりました。

それは少し後の事ですが・・・。

とにかくこの壮絶な抗がん剤治療の合間に新しいパンを作ったのです。

これはパンが目的ではなく,意識をそらすことが目的でした。

こうやって何とか4回目の抗がん剤が終わりました。