早すぎるだろう。東大病院(その2)
「東大病院から電話があったよ!お母さん!なんだろう。心配だよお母さん!」
当時中学1年生だった長男が心配になって私に電話をしてきたのでした。
「わかった。また電話があるかもしれないからすぐに帰るよ。」
と言って携帯を切った直後にまた携帯が鳴りました。
「すぐに帰るって言ってるのに何だろう」と思いながら携帯に出ると,
「東大病院予約センターです。ご自宅にお電話しましたがご不在でしたので携帯電話にかけさせていただきました。」
「上部消化管内視鏡,下部消化管内視鏡,MRI,PETの日程が決まりました。」
「○○日と××日,△△日と□□日です。」
「○○日はあさってで急なのですが大丈夫ですか?それ以外は年明けすぐです。日程の方はいかがですか?」
立て続けにこのように言われてしまって,「え。早すぎるでしょう」と思いながらも,
「はい。大丈夫です。」
と予定も見ずに言ってしまいました。
まあ,私は癌ですし,子供たちは冬休みなので予定は特にないのです。
明後日は旦那も仕事納め後ですので子供たちの預け先を考えなくても大丈夫なのです。
でも,とにかく急すぎて頭がついて行ってない状態でした。
だって東大病院に行ったのは一昨日ですよ。
大学病院での手術は診察してから半年待つ事も多いと聞いていたのにこの速さは何なんでしょう!。
一息つく暇もない感じでした。
もう電話は終わって急ぐことはないのに,UさんとHさんにさよならを言って帰ることにしました。
UさんとHさんは
「なんか流れに乗ってる感じがするね~。今度こそいい結果になると思うよ。」
と言ってくれました。
私は彼女たちがこれまで「大丈夫だよ~。」と言うたびに心の中で「大丈夫じゃないんだけどな~。」と思っていました。
でも,彼女たちは好きでこの言葉を言っているわけでなく,それしか言えないから絞り出すように言っているということは,私も重々わかっていました。
しかしこの時はこの言葉,
「なんか流れに乗ってる感じがするね~。今度こそいい結果になると思うよ。」
を素直に,本当に素直に受け取りました。
「ありがとう!私もそんな気がする。」
と言って帰りました。
帰りは東大病院との電話はもう済んだのだから急ぐ必要はないのに,つい車のスピードを上げてしまいました。
早く帰ってカレンダーを見ながら頭を整理したい衝動に駆られていたのです。