子育てと闘病を両立する方法。

大腸がんステージⅣの闘病と子育てを両立させ最終的に完治した闘病記を記します。

東大病院で驚きの大腸内視鏡(その2)

骸骨のような自分の身体を見てかなり滅入ってしまってあまり眠れませんでした。

眠れない理由がもう一つありました。

大腸内視鏡検査は,今かかっているM病院でつい最近受けたのですが,あまりの激痛で気を失いそうになり,絶叫して中止してもらったのです。

しかも,大腸の手術の場所までたどり着けなかったのです。

最初の手術で大腸は半分切除して小腸につなげているので,そのつなぎ目が2年たってどうなっているかチェックのために受けたのです。

でも,そこまでたどり着けなかったのです。

検査の途中で,年配のベテランのような医師が現れて,向きを変えたりして少しプローブは進みましたが,先には進めませんでした。

お腹をグーッと押したり,横を向いたり,上を向いたり,1時間近くいろいろやりましたが,もう痛みの限界で私は絶叫してしまったのです。

それで中止になり,「吻合部は確認できず」で終了になったのです。

手術した人は腸が癒着しているのでなかなか検査はできないのだと説明されました。

そのようなことがあったので,果たして東大病院でどのようなことになるのか?と思うと不安でした。

検査ですから,抗癌剤と比べると,辛さは全く違うもので,気分的には軽い感じですが,やはり痛みというものは耐え難いものです。

そのような事を考え始めると眠れなくなりました。

そして翌日。

ホテルを出て東大病院に行きました。

受付を済ませて,内視鏡の場所に行きました。

ここは先日上部消化管内視鏡で来た場所ですが,待合室の中央についたてがあって,奥の机の上に2Lの下剤が10袋ほどおいてありました。

今日は10人の人がここで大腸内視鏡検査を受けるのだとわかりました。

すぐにその10の人々が集まって,注意事項のビデオを見た後,下剤を飲み始めました。

下剤を飲んでトイレに行きながらも,先日の激痛の内視鏡のようにならないか,吻合部までたどり着けるのか,不安でいっぱいでした。

それから2時間ほどで皆十分腸もきれいになったのか,あまりトイレに行かなくなったな,と思ったころ順番に呼ばれ始めました。

大腸内視鏡の部屋が3,4部屋はあるようで,次々に呼ばれました。

そしてとうとうわたしの名前が呼ばれました。

「術前検査ですね。そのパンツに履き替えてください。お尻をこちらにして横になってください。注射を打ちます。」

と看護師さんがおっしゃいました。

そして横になっていると先生がやってきました。

若い先生で,私は不安になりました。

「術前検査ですね。吻合部はしっかりと見ておきましょう。」

とおっしゃったので,

「M病院では吻合部まで見れなくて,心配です。」

と私は言いました。

しかしその若い先生は,

「そうですか。でもとにかくやってみましょう。」

とあっさりとおっしゃって早速始めました。

プローブが腸を上がっていって,もう緊張で体がこわばっていましたが,若い先生が

「力を抜いてください。痛かったらやめますから。」

とおっしゃるので,少し力を抜きました。

私は以下のように感じていました。

今の痛みはほとんどない。

緊張しているからなんか痛い感じがするだけ。

でももう10分ほどたった。

そろそろ痛みが来るはずだ。

何回も行ったり来たりしているな。

早く吻合部の方に行かないのか?

もう20分くらいたった。

いつ吻合部の方に行くのか?

吻合部の方に進めば激痛がするはずだ。

その時先生が

「今,吻合部を念入りに見ているのですが,もう一人先生を読んできますね。少し待っていてください。」

とおっしゃったのです。

「え?え?え?。吻合部?もう見てるの?というかいつの間に吻合部まで来たの?痛くなかったんだけど・・・。」

とプローブがお尻に刺さったまま気持ちだけあたふたしていると,年輩の先生がやってきて,

「ごめんなさいね。もう少し見せてくださいね。」

と言いながら,プローブを動かして若い先生と一緒に何やら画像を見ながら話していました。

そして

「ハイ。吻合部はきれいでしたよ。これから少しづつ抜きながら,観察しますね。」

とおっしゃって,抜き始め5分も立たないうちに終了になりました。

先生が

「終了です。長くかかってしまってすみませんでした。」

とおっしゃったので,つい私は

「あの。あれ?痛くなかったのですけど。本当に見れたのでしょうか?」

と言ってしまいました。先生は

「ええ。見ましたよ。大腸と小腸はちゃんと吻合されていて,新しい腫瘍のようなものもなく,きれいでしたよ。」

とおっしゃったのです。

もうこの時点で私の東大病院に対する全面的信頼感が一気に頂点に達しました。

まだ,手術していませんでしたが,診察と検査の段階でしたが・・・。

「東大病院サイコー!!」

という感じになってしまったのでした。

家に帰って旦那に興奮しながらこのことを伝えると,

「えー。大腸内視鏡が病院でそんなに違いがあるとは思えないな。M病院の激痛の時,癒着がはがれて腸がいい具合になってたんじゃないの?素人的だけど。」

と言いました。

確かにそうかもしれないけど,でも何かを好きになるって理屈ではないですよね。

私はその日東大病院が大好きになってしまったのでした。