懸命に看病する母と病気の娘。(その1)
東大病院の4人部屋で私の隣は手術直前に花嫁になった娘さんでした。
手術直前に花嫁になった娘さんに関してはこちら(リンク)↓↓
その娘さんの前のベット,私から見て斜め前のベットの女性も若い娘さんでした。
中国の方ですが,日本語がお上手でした。
見た目は大学生に見えましたが,もしかしたら25歳位かもしれません。
彼女のベットには毎日朝からお母さんが来ていました。
お母さんは水餃子の入ったタッパーを開けて持参したお椀によそって娘さんに渡します。
娘さんはお母さんとおしゃべりしながら食べ始めました。
そんなことを私がこの部屋に来る前から,ずっとずっとやり続けているわけです。
もう楽しくおしゃべりする気もないのか,口調はぼそぼそと暗い感じでした。
食後お母さんは娘さんの背中をなでたり足をさすったりしています。
軽いマッサージのようなものでしょう。
私はとても気になりました。
なぜってそのタッパーがものすごく大きかったからです。
全部食べないにしてもかなり食べている感じがします。
とすると病院の食事はどうしているのでしょうか?
とても気になったので,今日の食事の時,確認してみることにしました。
すると驚くことにその娘さんはほとんど,というか全く病院の食事を食べてないのです。
ある日,朝の体重測定の時間にその娘さんと体重計の前で鉢合わせになりました。
測定を終えて一緒に部屋に帰るとき,無言で歩くのも辛いので話しかけました。
私:「やっぱりお国の料理がいいのですか?」
娘さん:「いえ。母が作ってきてくれるのでそれを食べているだけです。」
私:「中国では毎日水餃子を食べるのですか?」
娘さん:「毎日ではないですが,かなりの頻度で食べます。」
娘さん:「母は食べ物に気を付ける人なので,野菜中心の餃子をあれこれ作ってくれるのです。」
こんな話をしているうちに病室に着きました。
お母さんと話しているときは不愛想でしたが,私にはにこやかで感じよく美しい人でした。