4人部屋での術後の生活。
これまで数回にわたって東大病院の4人部屋の女性たちの事を書きました。
そろそろ自分の話に戻ります。
4人部屋に移されたときはまだチューブが2本スタンドに繋がっていました。
一人でやっと歩けることができた頃です。
4人部屋にはトイレとシャワー室がありました。
トイレには尿量を計るビーカーが4つありました。
機械が2つ載ったスタンドを押しながらトイレに行って用を足し,尿をある手順で処理して戻ってくる。
これだけで大仕事でした。
その上これまで朝の傷の消毒は先生が病室に来てくれていましたが,これからは処置室に自分で行かなければいけません。
とにかく私は常に手術部が痛いのです。
硬膜外麻酔を取ったためか常に痛いのです。
処置室に行くのは何とか行けました。
しかし処置してもらうためにベットに横になるのは重労働なのです。
お腹に傷がないとイメージできないかもしれませんが,横になるってものすごく腹筋を使うのです。
ううっーっと言いながら横になって先生に処置してもらい,またううっと起き上がり,スタンドを押しながら部屋に帰ります。
その帰る途中で痛すぎてうずくまってしまう事がたびたびありました。
それからシャワーも大変です。
ここでは順番でシャワーを浴びなければいけません。
朝,回診後に順番を決めて次々にシャワー室に行きます。
しかしシャワー前に点滴を止めてもらい,針がささったままの腕をビニールで覆ってもらわなければいけません。
自分の順番が近づいて来たら,看護師さんを呼んで,点滴の処置をお願いします。
その時着替えのパジャマも持ってきてもらって一応準備ができるのです。
シャワーが終わったら,すぐに看護師さんを呼んで点滴を付けてもらいます。
そしてドライヤーで髪を乾かして終了です。
この一連の作業を4人が終了するとそろそろお昼という感じです。
この一連の流れで私は思いっきり足を引っ張りました。
それはどんくさいからです。
私としては術後1週間ほどしかたってなくてこんな作業をサクサクできるはずがないと思っていました。
しかし思っていても誰も助けてくれません。
自分でできることは自分でするしかないのです。
ああどうしよう・・・。
おばさんだからどんくさいのか,私は。
いや。他の3人は誰も「早くしろ!」とは言ってない。
焦らずにできることをやっていこう。
個室ではないのだから他の人たちに迷惑をかけずに。
その上でいかに快適に過ごせるかということに思考を集中しました。
そのうちにこの気配りをしつつ自分の身の回りの事をするということが板についてきました。
そんな感じでだんだん回復してきてつながったチューブも1本になりました。
来週には退院かという感じになってきたのです。
傷が回復してくる過程は単純に楽しいものです。
その後まだ手術や抗癌剤があるかもしれないけど,傷が治る過程は楽しいのです。
そんな時困った事態になりました。