喜びは突然やってくる(その1)
とうとう外来の日がやってきました。
もうこの頃はおばあちゃんの付き添いはなく一人で病院に行っていました。
腹からのチューブも先日取れて,もう身軽でした。
「肺転移の切除手術をやるので,抗がん剤は休止」
これが考えられる最もうれしいシナリオです。
電車に乗っている時も,駅から東大病院に歩いている時もずっとこのシナリオを考えていました。
前回の手術は本当に大変でした。
しかし,抗癌剤に比べればまだましでした。
言っておきますが,これは私の感想です。
私と同じ程度の癌で同じ抗がん剤を受けている人がいましたが,その人は平気そうでした。
少し気持ち悪いだけだと言っていました。
しかし私にとっては地獄でした。
抗癌剤の副作用は人それぞれなのです。
話を戻します。
「肺転移の切除手術をやるので,抗がん剤は休止」
このシナリオを思い描きながら中待合に座り,とうとう私の名前が呼ばれました。