子育てと闘病を両立する方法。

大腸がんステージⅣの闘病と子育てを両立させ最終的に完治した闘病記を記します。

喜びは突然やってくる(その2)

T先生は笑顔で,

「いかがですか?膿は治まりましたね。」

私は引きつった笑顔で

「はい。治まりました。」

それからT先生は耳を疑うようなことをおっしゃいました。

「術後何回かCTを撮りましたが,肺には転移してないようです。」

「え?」

「腫瘍マーカーが完全に下がっていますし,画像的にも癌ではなく水泡のような塊に見えます。」

「え?」

「何かあるようですが,それは癌ではありません。」

「え?」

「おそらく水泡です。」

「え?」

「ということで手術はしません。」

「えー!!」

私は喜びと悲しみが混ざっている感情をこの時感じました。

私は思わずT先生に,

「先生! 肺転移してなかったことはものすごくうれしいですが・・・。」

「手術しないということは,抗がん剤が始まるということですか?」

T先生はまた,耳を疑うようなことをおっしゃいました。

「補助化学療法の事ですか?補助化学療法はやりません。」

「患者さんの状態によりますが,当院では補助化学療法はやらないことが多いですね。」

「再発したら,また手術します。」

「それだけです。」

私は本当に耳を疑いました!

天国に飛んでいったような気持ちです!

「先生。それでは今後は・・・。」

と聞くと先生は,

「今後は月に一回の外来と3か月に一回のCTです。」

とおっしゃいました。

信じられません。

予想もしていなかった展開です。

予想していた最高のシナリオは「肺転移の切除手術をやるので,抗がん剤は休止」でした。

でも実際は「手術なし。抗癌剤なし。」でした。

予想外の展開に頭が混乱しました。

診察室から出て,再び椅子に座って騒いでいる頭の中を鎮めました。

静かに「東大病院サイコー!!」と心に中でつぶやきました。