癌。手術前に家族一人一人に手紙を書いておく(遺言)
緊急入院後10日ぐらい検査して面談があり,そこで最終的に大腸癌ステージⅣであることが告げられました。
その話を聞いているうちに唇が白くなってきて倒れそうになり,吐き気に襲われました。
病状の話が終わって手術の話になったあたりから本当に吐きそうになったので看護師さんにトイレに連れて行ってもらいました。
それ以降の話は旦那が聞いたのですが,
このままほっておけば癌が腸を塞いでいるので1か月で死ぬ事。
手術がうまくいても平均で5年生存率は11%であることが告げられたそうです。
緊急入院からこれまで私がいない間の子育ての事で段取りを取ることに意識が向かっていました。
それが今,やっと自分が大変な状態になっていることを認識したのでした。
死ぬかもしれないから子供たちの事なんとかしなくちゃ。から・・・
ああ,死ぬな。なにこれ。早すぎるでしょう! 私が何か悪い事でもした!?なんで死なないかんの? 神様どういうこと?!
と,言葉にならないような負の感情が大量に流れ込んできたのです。
「気を確かに持って」と言って旦那は心配そうに家に帰りました。
その日どう過ごしたかわかりません。
その夜,「こうしてはいられない!」とベットから飛び降りてナースステーションに行き,紙とボールペンを貸してもらいました。
それから常夜灯の薄暗い光の下で家族一人ひとりに手紙を書きました。
一人づつ文体を変えて「ありがとう」と「さようなら」のような内容を書いていきました。
書いている間涙がとめどもなく流れてきました。
入院して泣いたのは2回目でした。
1回目はHさんが入院後すぐに来てくれた時,子供たちの今後が心配で泣きました。
Hさんに関してはこちら ↓↓
今回は自分が死ぬことを実感して,怖い,つらい,悲しい,怒り,寂しいとかいろいろな感情が噴出して泣きました。
でも4通書き終えたときは何かすっきりして眠ることが出来ました。
この4通は手術前にHさんが来たときに預けました。死んだら渡してほしいと。
その後手術が成功して一応退院したのですが,Hさんがうちにお見舞いに来て
「今度,市でタイムカプセルみたいなことやるみたいやで。10年後の誰かに手紙を届けるとか言いよったわ。書いてみーひん?」
と言いました。
私は早速また4通手紙を書きました。
あの時点でまさか10年も生きるとは思っていなかったので「死んだお母さんから手紙が来た!」と驚く家族を想像しながら書きました。
成長して中学生と高校生と大学生になった子供たちに向けて書いたのです。
なんとそれが結局私がいる現在の我が家に届いたのです!
10 年も生きてしまったから・・・。
読むのも読まれるのもお互い恥ずかしいので,誰も開封せずに各自の机に入れていました。
全くHさんがあんな情報持ってくるから・・・(笑)
でもホントに今生きているなんて・・・。
私はものすごく強運の持ち主だと思います。
これから闘病に入る人全員に言っておきたいことは,
「家族に手紙を書いておく」
ということです。
手紙を書いているうちに「ありがとう」の気持ちに集約されていきます。
この感覚が大切で,病気でいながら豊かな気持ちになっていくのです。
豊かな気持ちでいると,まず眠れます。
これだけでも大きな成果ですが,それから徐々にいいことが起こってきます。
「面会時にいっぱい笑えた」とか,「主治医と前向きな話ができた」とか。
最終的に「いい治療ができた」まで行ければラッキーです。
手紙を書くことで感謝の状態になれるのです。