とうとう手術前日
今日は手術前日。
朝食はありましたが,昼食から食事なしでした。
昨日最後の晩餐と思ったけど今日この朝食が最後の晩餐でした。
最後の晩餐後の最後のコーヒーが飲みたいなと思っていると,回診の時間になってざわざわとにぎやかになってきました。
しかし,どうして先生方はあんなに声が大きいのでしょう。
回診の時に私がいつも感じるのは,弱者と強者の感覚です。
先生方は全くそんな気持ちはないのですから私(患者)のひがみです。
回診時に「ははーっ。」という弱者を演じてしまうのです。
でもまあ,ここで難しいことを言っても皆が困るだけなので,この回診時は「ははーっ。」でいいのかなと思います。
ああ。思い出しましたが国土先生は物静かでした。
声も小さかったです。
先生の声が大きいとはおそらく私のひがみでしょう。
一人一人先生と接すると普通の人なのです。
回診の時の先生の団体が,強い団体に見えてしまうだけなのでしょう。
話をもとにもどして・・・。
回診が終わって看護師さんに
「最後のコーヒーが飲みたいのですが,下のタリーズに行ってきてもいいですか?」
と思い切って尋ねました。
看護師さんは少し困った顔をしましたが,「早めに行ってきてください」と許してくれました。
私は大急ぎでカーディガンをはおり,1階のタリーズに行きました。
何にするか悩みましたが,当分コーヒーが飲めないのだから,やはりブラックでしょうと思いブラックを頼みました。
首からチューブを付けてスタンドを押しながら,それでもコーヒーを頼んでいる自分の姿を滑稽だと思いました。
コーヒーカップを受け取り,朝なので空いている店内で席を決めて座りました。
最後のコーヒーを五感全て使って味わうぞと思い,香り,熱さ,味,色,口に入れた後の余韻を味わいました。
十分に味わって,もうこれで思い残すことはないと満足して病室に戻りました。
この後,若い先生が腕と鼠蹊部から採血をしました。
その他簡単な処置をしたり,麻酔科の先生が説明に来たりして夜になりました。
看護師さんから眠剤を渡されて飲みました。
明日いよいよ手術なのです。
今だから言えますが,この東大病院での手術によって私は完治でき,人生が変わるのです。
この手術が全人生の転機だったのです。