旦那にとって病気の妻とは(その2)
しかし,この東大病院の隣のベットの花嫁とともに過ごして,私は旦那の事を考え始めました。
子供と絡めないで旦那の事を考えました。
夫婦は子供ができると親になり,旦那が昔は恋人だったことを通常忘れています。
しかし旦那は恋人なのです。
自分は死ぬので無くなってしまいます。
無念さ,恐怖,痛み・・等が無くなってしまいます。
しかし旦那はどうでしょう。
妻はかつての恋人なのです。
恋人がいなくなって,もう永遠に会えなくなると考えるとどうでしょう?
そう考えると残された人の方が辛いと思いませんか?
子供たちはこれから大きくなって恋人ができます。
お母さんが早くに死んでとても悲しい幼少時代を過ごしますが,大きくなって愛する人に出会うのです。
しかし,旦那はどうでしょう?
妻は最後に愛した人なのです。
自分が抱っこしているその子供の母親なのです。
そう考えると最も辛いのは旦那ではないでしょうか?
そう考えると隣の花嫁の旦那はどうして結婚したのでしょう?
想像を絶する辛さを味わうことになるのを承知で結婚したのでしょうか?
こんなことを考えている時,私の旦那が面会でやってきました。
東京に出張だったので寄ってくれたのです。
旦那に今の症状を簡単に説明した後,この隣の花嫁の事を話しました。
そして,「結婚した彼氏は凄い人だ,妻がすぐに亡くなってしまうかもしれないのに・・・。」
と言いました。すると旦那は意外なことを言いました。
「普通その立場なら結婚するよ。俺でも結婚する。」
「その状態で結婚を控える方が後悔する。」
「頭で考えて気持ちを抑えたら結局後悔する。」
「それに男はバツイチでも特に困らない。」
「失うものを恐れて何もしないと最も大切なものを失う。」
すごくないですか!?
うちの旦那が悟りを得た賢者のように見えました。
「師匠!」と呼びたくなりました。
この部分に人間臭さが出ていますが・・・。
↓↓ここ↓↓
「それに男はバツイチでも特に困らない。」・・・。
まあそれはおいておいて,言えることは男の方がロマンチストかもしれないということです。
奥さんが死んでしまうと旦那は悲しむのです。深く深く。
あなたは子供のお母さんですが,旦那さんの妻です。
今日はそのことを考えてみてください。
私はその夜,渋谷駅を旦那と手をつないで歩いている夢を見ました。
大学時代に着ていたダッフルコートを着ていました。
旦那は大学時代に着ていたピーコートを着ていました。