東大病院と新居浜おばあちゃん。(その2)
先生がやってきて,
「こちらへ来てください。あ。お母さんですか。始めまして。」
とおっしゃいました。
私は新居浜おばあちゃんに,
「じっとしてないで時々歩いてよ。エコノミー症候群になるから。」
と言って昨日の大きな処置室に向かいました。
新居浜おばあちゃんは私の1回目の手術の時の付き添いで,エコノミー症候群になってしまったのです。
手術後の付き添いと言っても特にやることはありません。
看護師さんが全てやってくださるので付き添いは要らないのです。
しかし,初めての大手術でしたし,おばあちゃんはどうしても私に付き添いたかったのです。
「娘が癌。しかもステージⅣで死ぬかも。」
こんなことを聞かされれば,母親は何としても付き添いたいと思います。
これが2回目,3回目になれば,
「病院にいる間は安心。むしろ帰ってからが心配。子供もいるし。」
と思って,退院後に手伝いに来ることになります。
とにかく1回目の手術の時,付き添いと言っても特にやることもなくじっと座っていたためにエコノミー症候群に「なってしまったのです。
つくばでの付き添いが終わって新居浜に帰ったその足で新居浜の住友病院に入院したのです。
帰りのバスの中で状態が悪くなり,バスから降りたその場所が住友病院の前で,そのまま入院したのです。
それから1か月近くICUにいたのです。
ベットから降りることは許されなかったそうです。
私より,大変な事になっていたのです。
今回は3回目で手術や入院には慣れていたし,エコノミー症候群にならないようにバスは使わず,新幹線でこちらに来ていました。
しかし,出産時に手伝いに来てくれた時から考えると10歳以上は年を取っているので無理はさせられません。
しかも,「娘が出産で手伝いに行く」のと「娘が癌で手伝いに行く」のとは気持ち的に大きく違います。
そんなことを考えると,私も哀れだが,私の母も哀れだなと改めて思いました。