子育てと闘病を両立する方法。

大腸がんステージⅣの闘病と子育てを両立させ最終的に完治した闘病記を記します。

癌。手術当日,その後のICU(その2)

手術室は室温が低いですし,本人は裸同然ですので目を覚ました時はものすごく寒くて歯ががたがたふるえます。

でもすぐにバスタオルや掛布でぐるぐる巻きにされるので少ししたら歯のがたがたは治まります。

気が付いたら家族が周りに来ているのですが,意識がとぎれとぎれですので,話しかけられてもうまく返せないでしょう。

そしてストレッチャーでICUに移動するのです。

ICUは病室なのですが,普通の病室とは機器類の装備の点が全然違います。

物々しい装備に囲まれ,看護師さんも常時近くにいます。

術後の自分の状態は凄いことになっています。

チューブが2本ついていて体液を排出しています。

それから尿道にもカテーテルが入っていて尿を排出しています。

首にも点滴のラインがつながっています。

手にも点滴のラインがつながっています。

私の場合は手術中に不整脈が出たらしくてそれを測定する機械もつながっています。

脚にはエコノミー症候群を予防するための風船のようなものが取り付けられその風船に空気が出たり入ったりしています。結構不快です。

もう右も左も向けない状態になっていて,手にはナースコールの呼び鈴が持たされました,がその形を確認することはできません。

そんな状態でただ上を向いて寝ているところへ旦那と母が来て,

「じゃあ,もうかえるわ。」

「う,うん」

という感じで帰っていきました。

その後の時間は長いのですが,麻酔のためかうつらうつらしています。

うつらうつらしているときに看護師さんの大きな声かけでびっくりして目を覚ますと,体の向きを強引に変えられます。

この体の向きかえは重要なことらしく,時間が来たら強引に実行されます。

起きていると身動きできないのがとてもつらいのですが,うつらうつらしていると自分としてはそのままにしておいてもらいたいのにそこは容赦ありません。

またしっかりと目が覚めて苦痛な時間を過ごすのです。

それから驚くべきことにこのような状態で歯磨きをするのです。

少しだけ体を起こし(と言ってもほとんど寝ているような角度ですが),看護師さんが歯ブラシで口の中をごしごしやってくれます。

その後水を含まされてボールに吐き出すのですが,角度的に飲み込みそうでひやひやです。

その後「夜なので寝てください」,と言われます。

しかし患者としては夜も昼もなくその後も定期的に体の向きかえがあるのみです。

そのような寝たきり状態のICUでの生活で2日ほど経ってから,一般病棟に移ります。

ICUの2日間ですが,こんなこと言うと今ICUで苦しんでいる人に不謹慎かもしれませんが,普通では体験できない貴重な体験でした。

どういうことかというと,まったくもって他力本願なのです。

自分でできることが全くないのです。

まるで赤ちゃんです。

健康な人,いや病気の人でもあれほど自分を明け渡す体験はないでしょう。

やられっぱなし,看護師さんのお好きなように,という感じです。

大人になってこの感覚になれたのはある意味収穫でした。

ごめんなさい。私の感覚なので皆さんに当てはまるかどうかはわかりません。

それでは一般病棟に移ってからの様子はまた次回お伝えします。